あちら側とかこちら側とか

とにかく、目障りだわ

いつからかしら、こんなにもテーブルの真ん中にある箸立てが目障りになったのは

かつては7人でテーブルを囲んでそれぞれがそれぞれの箸を取って、なんだか賑やかな家の象徴みたいだった

テーブルの真ん中にいる人気者みたいな

それが今はなぜかしら、こんなにも目障りなの

今はもう、3人だけ

あたくしと、父と、母

こんなにも近くなのにとっても遠くにいる気がしてならない

かつての人気者はこちら側とあちら側を、遮る壁のようになってしまったように感じる

それぞれがそれぞれの世界を閉ざす扉のような

あんな人気者がこんなにも憎いものになろうとは

好きと嫌いは紙一重なんて言うけど、人間てほんと勝手

邪魔だから箸立て、寄せてやろうかしら!

と今まで何度思ったことか、でも、できなかった

いままでと違う世界の扉を開いてしまうんじゃないかしら?と思うと怖くて

もはや行くも地獄戻るも地獄

覚悟を決めて寄せてやったわよ!

アタクシのこの決意とは裏腹に

父の世界は変わらなかったみたい

あたしの決意は父の目には映ってなかった

目の前にあるものを口に運ぶことだけをしていたわ

母はそれを見て

わずかな怒りをあらわにする

希望からでも絶望からでもない怒り

でも、良いの

すこし近くに寄れた気がしたから

あたしは身勝手な、人間ですもの

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